ブログを読んでいただいた方や、ワークショップで受けた質問に「折原さんの言うことはわかるんですが、そのスキルの前段階として…」
「このシーン、ライティングした方がいいのかがわからないんです」
「するにしても、どんなライティングにしたらいいのか正解がわかりません」
というようなお声をいただきました。
今日はその疑問に回答するようなお話をしたいと思います。「そんな肝心なことなんでもっと早く書かないんだよ」とつっこまれそうですが、こういうことばかり書いてると少しも具体的な策を伝えず、精神論的なことばかりなブログになりそうだったのでこのタイミングになりました。
ということで今日は
ライティング、するの、しないの!?どう判断すればいいんだ!その判断要素を考える!
です。みなさんがライティングするかしないか判断に迷った時や、したいと時にどんな選択肢があるのか。第一回の「できたほうがいい」という部分を「じゃあどんな時にどうやって?」と突っ込んだ記事にしていきます。するしないを判断する、三つの要素を紹介しましょう。
ライティングをするしないを判断する三つの要素
1 Why:なぜライティングするのか
- 対象物(新郎新婦、アイテム、ゲスト等)を照らしたい
- 地明かりが汚い
- 正確な色を出したい
- いつもとは違う表現に挑戦したい
- 現場とは違う光質で撮りたい
- etc
2 Where:どこをライティングするのか
- 入場時のゲストが暗すぎるからゲストを明るくしたい
- アイテムを並べて撮る時に、主役にするアイテムを照らしたい
- 新郎新婦が目立たないから新郎新婦だけに当てたい
- etc
3/How:どのようにライティングするのか
- 直当て逆光でエッジをたたせる
- ボックスのサイド光でコントラストをつける
- グリッドをフロントトップから当てて対象物を浮き立たせる
- 2灯を使い、両サイドへのバウンスで全体に光を回す
- ストロボ光だけで画を構成するのか、地明かりにストロボをプラスするのか
- etc
判断するには2W1Hが基本。その詳細は?
僕は上記の2W1Hが判断要素になると考えています。この順番で考えていくと混乱せずにライティングの要不要を判断できるので、順を追って解説しましょう。
1/Why:なぜ
まず最初の大きな分岐点はこれです。この「なぜ」の中にも二択があって、それは「しなければならない」なのか「したい」なのか。どちらが良い悪いではなくまずこれを考えましょう。どちらにも当てはまらないのならば「しない」という選択ですね。また、現場や状況によってはクリップオンストロボがあっても何の役にも立たないな、という場合もあります。そういうときは潔くライティングすることを選択肢から外して、それ以外のことに注力しましょう。ライティングは必殺技にもなりえますが、全く無効果な場合もあるのでこの判断だけは様々な現場を経験して積み重ねていくしかありません。
しなければならないケース
- ・部屋が暗い
- ・光(=色)が汚い
- ・被写体が目立たない
したいケース
- ・普段とは違うカットを撮りたい
- ・キラーカットを撮りたい
- ・あの二人を目立たせたい
- ・会場全体に光を回したい
必要に迫られるのか、やりたいことが明確にあるのか、またはそのどちらもなのか。その判断をきちんとすること。「しなければならない」と「したい」がリンクすることも多くあるでしょう。判断材料は現場や状況によって様々ですが、ここを迷ったままなんとな~くライティングしてもうまくいくことはありません。
それと、この時に勘違いしてはいけないのはライティングを「しなきゃいけない」もしくは「すればいい」という考えに陥ること。ライティングはあくまでも手段であり目的ではないので…。その結婚式がどんな雰囲気なのか。お客様はどういう空気感なのか。自分はどんな仕上がりの画を撮りたいのか。そこをきちんと突き詰めて考えることが一番重要ですし、それを考えることによってライティングが必要なのか否か、必要なら「なぜ」必要なのかという部分が明確になってきます。僕自身も(当たり前ですが)この部分は現場に行って判断しますし「今日は全然ライティングしなかったな~」という日もあります。
また、最悪なのはライティングに迷いながら大事なシーンを撮り逃すこと。これでは本末転倒なので、迷うくらいならしないほうが何倍もマシです。なんとなくライティングをする前に、「したいのか、する必要があるのか、しないほうがいいのか?」まずここをよく考えてみてください。
2/Where:どこを
しなければならないにせよ、したいにせよ、ライティングを「する」と判断したらここを考えます。難しく考える必要はなく、人物を、指輪を、会場全体を、メインテーブルを、お花を、靴をと当てたい場所、箇所、ものをはっきりとさせればよいでしょう。問題は次です。
3/How:どのように
ここがみなさんにとっても一番悩みどころになるところだと思います。「暗い、汚い、明るくしたい、でもどうやったらいいかわからない!」という状況になったことがある方もいるかもしれません。この「どのように」という部分はケース毎に記事を書けるくらい細分化されますしボリュームも多くなるので、この先は「こんな状況ではこんなライティングが効きまっせ」というのをケースライティングとして一つずつ記事にしていきます。でも一つ一つの内容はとても簡単なので、できそうなケースを自分の現場に当てはめて挑戦してみてください。ウェディングの現場あるあるな状況と、それに対応するための具体的なライティング次回からは書いていきます。
こんな時は、どんなライティング?あるあるな状況に対応する。
会場系
- 披露宴入場時、新郎新婦にだけスポット、ゲスト真っ暗!
- 映像が流れてる時、映像に露出あわせたら他が真っ暗。バウンスしたら映像消える。
- メインテーブルの後ろは真っ青な海と空。オーシャンビュー綺麗だけど、バウンスしたら…ふっとんで真っ白ー(泣)
- ぼんやりとした光ですね…新郎新婦がどこにいるかわからないですね…。
前撮り系
- 地明かりで撮影したら余計なもの見えすぎて現実感ありすぎ!!!
- 夜。後ろから一灯照らすのはもう定番すぎて感動ない。でもそれ以外どうしたらいいの?
- 曇ってる。どんよりしてる。身も心も、写真も。
ブツ撮り系
- 指輪撮ったよ!!…ど、どこ?
…さてみなさん「あるある」と思っていただけたでしょうか。次回からはこのあるあるな状況に対応するための記事を何回かに分けて書きます。
ただし、次回から書くことは「これさえやっときゃOK」という絶対的な答えではありません。あくまでも「折原はこうしています。こうする場合もあります」というだけのことです。
また、ライティングに慣れていない人が、いきなり一日を通して全シーンをライティングするというのは無理がありますので、最初は「あの会場のあのシーンだけはライティングしてみよう」と、状況や現場を限定し挑戦してみるのがいいと思います。
僕のやってることは、段階を踏み、機材の使い方やライティングの効果を一つずつ自分のものにしていけば決して難しいことではありませんので、できそうなところからチャレンジしてみてください。
ということで!次回は会場系の
暗いゲストを照らし出せ!目立たない2人を目立たせろ!披露宴会場におけるライティング!~地明かりを作ろう編〜
をお届けする予定です。このあたりからが僕のブログのメインディッシュになりますので、ぜひ参考にしてみてください。ではまた次回!